不誠実なカラダ
「でもね。尚太は、そんな私の事、分かってくれている。だから、尚太の為にも、前を向いて歩かなきゃって、思うんだ。」

「頑張れ、環奈。」

心は、そんな私を励ましてくれた。

「うん、ありがとう。心。」

やがて朝礼が始まって、私は自分の席に戻った。


私は、尚太の事が好きで、尚太には好きな人がいる。

部長は心が好きで、心には彼氏がいる。

そして、私と部長を繋ぎとめるモノは……


私はため息をついて、考えるのを止めた。

子供じゃあるまいし、そんな時もあると自分に言い聞かせた。

言い聞かせた反動で、私は尚太に会いたくなった。

私にだって、気持ちで繋がっている人がいると、思いたかったのだろう。


「尚太、久しぶり。」

私を見た尚太は、全身固まっていた。

さしずめ、いつでも来ていいよと言ったのが、また来たのかよと言う感じなんだろうか。

「カウンター、いい?」

「……ああ。」
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