不誠実なカラダ
「心?」

もう一度呼びかけると、心は頷いた。

なんだか、いつもの心とは違うような気がする。

心は大人しいけれど、言う事は言う子なのに。


「ああ、一度部長に連れて来て貰った事があって……」

やっと口を開いたけれど、そんなに大した事ない言葉。

「そうなんだ。このバーテンは、知ってる?」

私は尚太を指さすと、心は尚太をちらっと見た。

「うん……宮島……尚太君でしょ?」

「そう。」


なんだ、知ってるんじゃん。

私の好きだった人、この人なんだよね。

無意識に、舌をペロッと出した。


「イイ男でしょ?」

「……うん。」

なんだか優越感。

彼氏ではないけれど、こんな素敵な人に、恋をしていた自分?が誇らしかった。

「と、言っても惚れちゃダメだよ。ねえ、尚太。」

尚太は、好きな人がいるんだもの。

心が尚太を好きになったって、振り向くはずがないもんね。
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