不誠実なカラダ
尚太は、ニコッと笑うだけで、はっきり言葉にしてくれない。

でも、私かもしれないと言う期待は、私の胸から体中に広がり、幸せで満たしてくれる。

「ねえ、尚太。」

「なに?」

今度は他のお客さんの、カクテルを作っている尚太。

「尚太は、セックス上手い?」

「さあね。」

「女をイカせた事、ある?」

「うーん、数えるしかないな。ほら、俺まだ若いし。」

ライムの輪切りが、妖しい光を受ける。


「ねえ、また抱いてくれる?」

私はカクテルグラスを、回した。

「ごめん。」

尚太の返事は、即答だった。

「どうして?相性、悪かった?」

「そんな事ない。よかったよ、環奈の抱き心地は。」

尚太とはこの前、私の部屋でお試し済みだ。

私は付き合う前に、一度体の相性を確かめるようにしている。

付き合ってから、体の相性が悪いと知るだなんて、死んでもごめんだ。

尚太とは、私もよかったと思う。
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