『 』
恵みの雨とされたその豪雨は国中に三日三晩降り続き干からびて割れた大地を、焼かれて水分を失くし生命を育めなくなった土地に一気に命の息吹を与える形となり
アレグリーアは程なくしてまた作物の豊かな食物大国となった。

しかしアレグリーアはまた同じようなことにならないために国の周辺にバリケードを作り武器ではなく人々は音や声で荒んだ隣国の人々の心を和らげ平和協定を結んぶことに成功した時にしてわずか2年の出来事だった。

この時アイカは齢10であった
ひとりでいきるにはまだまだ知恵が無さすぎた。
今は吹きすさぶ雪が身を切る冬
なんとなく街に出たアイカ。
宛もなく街を歩き回っていたアイカの耳に聞こえてきたのは過去の記憶に支配された心を溶かす美しい旋律だった。

♪~♪~♪~♪

弦を弾くような柔らかく優しい美しい音色に自然と聞き入り足を向けていた。
すると間もなく音が途切れ聞こえなくなった
走って向かったが既にその音色の持ち主の姿はなく、人々の雑多なざわめきだけがいつものように賑わっていた。
どうしても気になり周辺の人々に今の音色の持ち主を訪ねて回ったが誰も相手にしなかった。
汚い、臭いなどと跳ね除けられた。

探して歩いたがもう二度とその音色は聞けなかった
そんなある日、国王の城で宴が行われることになった。
貧富の差の関係なく人々を受け入れ食事が振る舞われるということを耳にして
アイカも城へと向かい振る舞われた食事で腹を一杯にした

「皆の衆
最近の暮らしはいかがか、助け合い暮らせておるか。
これはあの戦から立ち直った私の民たちに心ばかりの楽の褒美を用意した楽しんでくれ」

国王の言葉を引き継ぐように聞こえたのはあの音色
弾かれたように顔を上げ音のするほうを見たが簾掛けが下がっておりその人物を確認することは出来なかった。
裕福な民を押しのけその楽師の真ん前に陣取ってどうにか顔を見ようとしたが簾の目が細かく中を透かしみることは叶わなかった。
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