『 』
クイダードは憂いの国と揶揄されるほど
嘆きや羨みが横行する荒んだ国だと言われている。
その憂いが原因となり狙われたのがアレグリーアだったがいまは平和協定のもとアレグリーアの食物などの物資をクイダードにわけている。
その代わりクイダードはアレグリーアの防衛を担っていた。
そのためか国境の人々はひどく仲が良く子供たちも共に遊んだりなどと関係は良好なものとなりつつあったため国境の門の警備も薄くどんな格好のものでも難なく通ることが出来た。
アイカもすんなりと隣国クイダードへと入国することが出来た。
「アレグリーアにはない匂いがする…」
国が違うのだ人々の生活習慣や習わし、行事なども祖国とは異なっている。
まずは着るものを手に入れなくては…と働き口を探した。
孤児の身の上お金は一切持ち合わせていないがタダで人から奪うことだけは絶対にしなかった。
いつも
パン屋の近くに行けばそこの親父が余ったパンやジャムをくれる。
魚屋の近くを通れば女将さんが刺身を振舞ってくれた。
アレグリーアの城下町の民は皆こうして優しいのだ。
ただ街にいる貴族を除いては…。
近くの茶屋や食堂を渡り歩き働かせてくれと頭を下げて回ったがどこの店の主人もアイカの身なりを見て断った。
何件断られたかわからないほどいくつもの店を回りここがダメならとりあえずどこかで寝よう…と入った定食屋の女主人、恰幅がよく豪快な女性だった。
「なんだいアンタ、汚いねぇ」
「あの…ここで働かせてもらえませんか……?」
どうせ断られるだろうと言葉も尻すぼみと自信のない頼み方となってしまった。
「あんた、ここは何件目に頼みにきたんだい?」
「…………覚えていません。」
どこも断られていたため何件目かなどと数えてはいなかった。
ただ一生懸命働かせてくれと頭を下げて回っていた。
「とりあえず…これを持って風呂に入って着替えてきな。そんな身なりじゃ店には建てないよ!!」
言うやいなや店の奥に向かって声を上げると若い男の子が現れた。アイカより3.4つ年上だろうか。少し大人びている。
「この子を2階の風呂に案内しな。こいつはジョンだよ」
と言われてもまだ頭が追いついてこないがとりあえず名を名乗ることは出来た。
「アイカと言います。」
嘆きや羨みが横行する荒んだ国だと言われている。
その憂いが原因となり狙われたのがアレグリーアだったがいまは平和協定のもとアレグリーアの食物などの物資をクイダードにわけている。
その代わりクイダードはアレグリーアの防衛を担っていた。
そのためか国境の人々はひどく仲が良く子供たちも共に遊んだりなどと関係は良好なものとなりつつあったため国境の門の警備も薄くどんな格好のものでも難なく通ることが出来た。
アイカもすんなりと隣国クイダードへと入国することが出来た。
「アレグリーアにはない匂いがする…」
国が違うのだ人々の生活習慣や習わし、行事なども祖国とは異なっている。
まずは着るものを手に入れなくては…と働き口を探した。
孤児の身の上お金は一切持ち合わせていないがタダで人から奪うことだけは絶対にしなかった。
いつも
パン屋の近くに行けばそこの親父が余ったパンやジャムをくれる。
魚屋の近くを通れば女将さんが刺身を振舞ってくれた。
アレグリーアの城下町の民は皆こうして優しいのだ。
ただ街にいる貴族を除いては…。
近くの茶屋や食堂を渡り歩き働かせてくれと頭を下げて回ったがどこの店の主人もアイカの身なりを見て断った。
何件断られたかわからないほどいくつもの店を回りここがダメならとりあえずどこかで寝よう…と入った定食屋の女主人、恰幅がよく豪快な女性だった。
「なんだいアンタ、汚いねぇ」
「あの…ここで働かせてもらえませんか……?」
どうせ断られるだろうと言葉も尻すぼみと自信のない頼み方となってしまった。
「あんた、ここは何件目に頼みにきたんだい?」
「…………覚えていません。」
どこも断られていたため何件目かなどと数えてはいなかった。
ただ一生懸命働かせてくれと頭を下げて回っていた。
「とりあえず…これを持って風呂に入って着替えてきな。そんな身なりじゃ店には建てないよ!!」
言うやいなや店の奥に向かって声を上げると若い男の子が現れた。アイカより3.4つ年上だろうか。少し大人びている。
「この子を2階の風呂に案内しな。こいつはジョンだよ」
と言われてもまだ頭が追いついてこないがとりあえず名を名乗ることは出来た。
「アイカと言います。」