月曜日、いつもの席で。
*
ちらっと、時計を見る。
「22時……」
まだ榎本さんは来ていない。
今までの半年間、榎本さんが来ない日はなかった。
何かあったのだろうか。
それとも、先週後輩さんたちに出くわしたからもうこのお店には来ないとか…?
「沙夜華ちゃん、そろそろ上がりでいいぞー!」
「…店長」
「ん?」
「お店の閉店時間何時でしたっけ?」
「23時30分だけど…」
「今日私残ります!残業代要らないんで!」
「えぇ!でも帰りが危ないよ!」
「大丈夫です!洗い物手伝いますね!」
「さ、沙夜華ちゃん…、わかった。頼んだよ」
店長は察してくれたらしい。
私は笑顔で返事をして、洗い物に取りかかった。
今日、会いたい。
そうじゃないと、一生言えなくなってしまう気がしたから。