月曜日、いつもの席で。
帰り道
「じゃあ、店長、俺そろそろ七瀬さん送ってくわ」
「おう!任せたぞ!沙夜華ちゃん、また来週なー」
「ありがとうございました!お疲れさまです!」
ガラガラガラガシャン
「寒っ!」
12月の寒さは半端じゃない。お店から出ると、冷たい風が頬をかすめた。
私が思わずそう叫ぶと、榎本さんも寒いなーと笑った。
「手袋、今日店になかったら買い替えようと思ってたんだよ。ほんと、ありがとな」
榎本さんは、大事そうに手袋を付ける。
「いっいえいえ!でも、穴が開いても使い続けるなんて、ものを大事にするんですね」
「あー…、うん。まあね。」
榎本さんの答えの歯切れが悪い。
その手袋は、相当大事なものなのだろうか。
「あっ、ボタンがついてる。これも七瀬さんが?」
「あっはい!なるべくつぎはぎしたところが見えないようにと思って…」
すみません、と咄嗟に謝ると、ありがとう、と榎本さんは返してくれた。