月曜日、いつもの席で。
でもなんだかその声は元気がなくて。
榎本さんの横顔も、寂しげに見えた。
「……………」
なんだか気まずくて、無言になってしまう。
聞きたいこと、話したいことはあるはずなのに。
「…そういえば、ちゃんと自己紹介してなかったよな」
その声に驚いて榎本さんの方を見上げる。
「あっ………はい。」
「俺、榎本拓海。よろしくな」
榎本 拓海、さん。
「あっ、だから店長『拓ちゃん』って呼んでるんですね」
「そうそう。あの居酒屋、家から近くて学生時代から通ってるから。
前に、七瀬さんがバイト入ってくれたって、店長かなり喜んでた」
……そういえば、榎本さんはどうして私の名前を知ってるんだろう。
「榎本さんは、私の名前、店長から聞いたんですか?」
「あ、うん。そうだよ。ごめん、知らないおっさんが名前知ってたら怖いよな。」
私はその言葉にブンブンと首をふる。
「ははは。そんなに否定しなくても。
5月くらいから新しいバイトの子が来たなって思って聞いたら、店長が『七瀬沙夜華ちゃんだよ』って。」
うわ。今榎本さんが下の名前も呼んでくれた…。
なんか、心臓が、うるさいよ。