月曜日、いつもの席で。

ほんと、気にしないでと榎本さんがニカッと笑ったので、私も自然と笑顔になれて。


私たちはまた歩き始めた。


「普段はもっと早くにバイト終わってるんだろ?
親御さん心配してるだろうな。」

榎本さんの言葉に、ちくっと胸が痛む。


「あー…、たぶんその心配はないです。」


「え?」


「私の家、両親が離婚して。父親いないんです。
お母さんも遅くまで仕事で。朝に帰ってくることがほとんどなので。」


だから大丈夫です、と笑顔で言う。


でも榎本さんは、笑顔を返してくれなかった。


「…そうなのか。だからバイト頑張ってるんだな」


そういえば、家庭の事情はあんまり人に話したことがない。店長と由紀乃くらいだ。
なんで榎本さんに話しちゃったんだろう。


「はい。最近は学校が受験勉強しろってうるさくなったので、大変です。一応進学校なんですよ。だから大学に行かないっていう選択肢がなくて。」


「……教えてやろうか?」


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