月曜日、いつもの席で。
「あ、ここです」
着いたのは、シンプルなアパート。
部屋の電気がついていないから、やっぱりお母さんは帰ってきていない。
「ん。じゃあ、しっかり戸締まりして寝るんだぞ。」
「ふふ。了解です。」
「…今日は、ありがとな、待っててくれて。」
あ、まただ。榎本さんはよく、儚げに笑う。
「こちらこそ送ってくださってありがとうございます。」
「おう。じゃあ、また月曜日に。」
榎本さんは、右手を上げて、来た道を戻っていった。
『また、月曜日に。』
この一言で、また会えるんだって思えた。
榎本さん。
また会ってもいいんですよね。
LINEも連絡していいんですよね。
胸がキューっとして、痛い。
私は、榎本さんの姿が見えなくなるまで、ずっと見守っていた。