月曜日、いつもの席で。
「その常連さんさぁ、沙夜華のこと狙ってんじゃないの?」
由紀乃がボブの髪をフワッと揺らしながらニヤリと笑う。
「…………えぇ!?」
「だってさ、いっつも同じ時間に来るんでしょ?
それって沙夜華が必ずいるからじゃない!?」
「………ないないないない!」
「えーそうかなー?
てか沙夜華の好きなタイプってなに?」
「ちょっ、由紀乃急にどうしたの!」
「いや、聞いたことなかったなーって」
「……別に、特にないかな。好きな人もいたことないし」
「えー!恋しようよ!恋はそれだけで世界がガラッと変わるんだから!!」
由紀乃の目がキラキラ輝いている…。眩しい。
でも、本当に恋はしたことがない。
「…強いて言うなら……」
「ん?なに?」
「いや、なんでもない。」
強いて言うなら、好きなタイプは、父親に似てない人。
…なんて、ね。