軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「もし、神様が本当にいるのだとしたら……この方をお救いください」
この身を神に捧げた恩恵を少しでももらえるのなら、目の前の命を救ってほしい。そうすれば、セレアがここに囚われることにも意味があるように思える気がした。
「だからどうか、神様……」
(私の願いを叶えてください)
夜の闇が墨を垂らしたように、いっそう深くなる中。セレアは温もりを分け与えるように男の手を握りしめて、暁の薄明が東の空を照らし始めるまで祈り続けた。