軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「俺だけを見て愛するように、今度はこの俺があいつの自由を奪う」
自分で言って狂っているな、と苦笑いを浮かべた。
女など世継ぎを生むための道具としか、思っていなかったはずだった。今まで一夜限りの戯れで女に触れたことはあったが、セレアとは比にならない。
理性を手放してしまいたくなるほどの激しい熱情と、彼女を組み敷いたときの気分の高揚。あんなに取り乱したのは、初めてのことだった。
妻は皇帝という立場が求めているのであって、俺自身が欲しているわけではない。
そう思っていたのだが、掟を破る危険を犯してまで命を救おうとしてくれたセレアの健気で強い姿を見た瞬間、その考えは消え失せた。
(儚くも強い、セレアの清い心に強く惹かれた)
妻にして永劫自分に縛りつけたいと、そう望んでいる自分がいる。