軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「危険だとわかっていて、見ず知らずの俺をあの神殿で匿った。その決断は容易なものではなかったはずだ」
多くの掟を破り、看病をしたセレアの内心は不安でいっぱいだったはず。なのにレイヴンの前では変わらず笑顔だったのだ。
その健気な姿に、この女を守らなくてはという強い使命感がわいたのを覚えている。
「だから、今度は俺がすべてを敵に回してもセレアを守る」
(これは、揺るがない誓いだ)
この手に権力があるのも、剣の腕があるのも、すべてが彼女のためだと思えてしまうくらいに、皇帝ではなくひとりの男として想っていた。