軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「皇妃様、こちらへ」
(そうよね、私は皇妃……なのよね)
なんの心づもりもできずに突然彼の妻となり、皇妃となったセレアには正直言って実感がない。
侍女に鏡台の前へ誘導されながら、こっそりため息をついた。
「今日もお美しいですわ」
「ありがとうございます」
侍女の社交辞令も飽くほど聞いているが、用意してもらったドレスは気に入っていた。
今着ているのは神殿で着ていたような純白のドレスではなく、花柄が描かれたブルーサテンのドレス。
胸元は大きく開いているが、上品な二段のパゴタ袖が肩から肘のあたりまで肌を隠しているために、いやらしさを感じさせない上品なデザインになっている。