軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「こちらも婚礼衣装同様に、陛下がお選びになったのですよ」
「え、レイヴンが?」
(それは、知らなかったわ)
使用人が用意したものを着ているとばかり思っていたセレアは、驚きの声を上げる。
「あまり感情が表に出るようなお方ではないですが、そのときの陛下はどこか楽しそうに見えたと居合わせた侍女から聞きました」
(た、楽しそう? そんなレイヴンを想像できないわ)
見間違いじゃないかと疑っていると、侍女はセレアの髪をまとめながらニコリと笑った。