軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「ですが、ほかの神官に示しがつきません」

「毎回、小務官に禊をさせて部屋の清掃や支度を手伝わさせていては、負担になりましょう。ですから、このままでお願いします」


 民も神官も彼の導きを少しも疑わない。


 だが、セレアの目に神殿で最高位の大神官である彼は私欲に満ちた大悪党のようにしか映らない。


「勘違いされては困る。ここでは私が掟ですぞ」

「…………」


 遠回しにお前には拒否権はないと言われているようだった。


 大神官がセレアだけに見せる黒い一面。これを知っているからこそ、彼を信じられないのだ。

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