軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
◆六章◆
幸福な寵愛
大陸を二分するイザナギ帝国とパゼル帝国の交戦から、三ヶ月が経った。
レイヴンはパゼル国と友好関係を築くため、架け橋になったセレアを連れて早々に彼の地に赴いた。
ガンネル皇帝との条約の取り決めをし、わずか一ヶ月で同盟を結ぶことに成功。
入国時に検問を受ける必要はあるも、民はお互いの国を行き来することができるようになり、勉学や仕事に至るまで生き方の自由が確かなものになったといえよう。
イザナギ帝国、第十四代皇帝レイヴン・ヴォルテールはこの功績が称えられ、真に平和を願う英君として両国民から名声を得ることになった。
国政が落ち着いたのを見計らって、今日は宮殿でパゼル帝国との同盟を祝し、舞踏会が開かれることとなった。
セレアは朝から、その際に着るドレスの試着や髪飾りなどの装飾品選びに追われている。