軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


***

「陛下、国境の警備兵の数は、パゼル国と同じ人数で配置した方がよいかと」

「だがパゼル国民に入国の自由を許可した影響で、検問や国内の巡回に兵をとられている」


(べリエスの言いたいこともわかるが……)


 いくら同盟を結んだとはいえ、敵国であった因縁は簡単には消えてくれない。たびたび、両国民の間にいざこざが起きていると報告が上がっていた。


 ゆえに向こうの兵が多いと、〝寝首をかかれたら、どうするんだ〟と民は不安を感じるのだろう。生活が豊かになったぶん、その弊害も出よう。


それでも、戦をするよりずっと平和的な問題だとレイヴンは思っていた。


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