軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「どこから国境付近の兵を補うか……」
執務室の背もたれに寄りかかり、レイヴンはため息をつく。
先の戦でこちらも多くの兵を失っているため、イザナギ帝国は兵の深刻な人員不足を起こしていた。賃金を上げるなどして新たな兵の志願を期待しているのだが、さほど集まってはいない。
それに志願者が育つまで、教育を担当する兵の負担は大きいだろう。なのに国境の警備に人数を増やすとなると、さらなる激務を課すことになってしまう。
「町内の警備に関しては、数人の兵を司令塔に民の自警団を作るのはどうだろう」
「自警団……その手があったか!」
頭を悩ませていると、アグニが持ち前の機転で策を講じる。べリエスから聞いていた通り、本当にこの男の頭は切れるようだ。