軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「うぅっ」

「私の手を煩わせたあなたは本来なら魔女裁判にかけ、火あぶりの刑に処すところです!」


 頭皮が吊るほどに、強く髪を引っ張り上げられる。その横でガルルッと唸りを上げる獅子神をフェンリルは足蹴にした。


「獅子神!」


(なんて惨いことを!)


 小さな悲鳴を上げて蹲る獅子神に駆け寄ろうとしたが、髪を掴まれているせいで身動きがとれなかった。


「道具が所有者に楯突くなど、許しませんよ」


(道具……やっぱりあなたは、私たちを人間として見ていなかったのね)


 体の中から突き上げてくるような怒りに、唇を噛みしめた。


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