軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「それすら望むことは、罪なのでしょうか」


 一度言葉にしてしまうと、タガが外れたみたいに想いがあふれる。


気を強く持たねばと思うのに、あの紫がかった髪にヴァイオレットの瞳が恋しくてたまらなくない。彼を想うと幼子のように弱くなってしまうのだ。


「レイヴン……」


(お願い、私を見つけ出して)


 セレアの祈るような声は、静まり返る楽園に物悲しく響いた。


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