軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「私に叶えられるものなら、なんでも叶えるわ?」
小首をかしげて花が咲くようにふわりと微笑むセレアに、耐えきれずと言った様子でレイヴンは喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
「あの、だな」
(あら? 珍しく緊張しているみたい?)
そこまで言っといて、いっこうに続きは語られない。なにを言われるのかハラハラしていたセレアは、待ち切れずにレイヴンの頬を両手で包んで上目遣いに見上げる。
「あまり、焦らさないでくださると助かります」
「くっ、了解した」
苦しげに息を吐きだして答えると、気を取り直すようにひとつ咳払いをする。そしてレイヴンは、ほんのり頬を紅潮させて告げた。