軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「奪って、なにもかも……すべて」


 恥ずかしさに死んでしまいそうだった。でも、彼だけが自分を想っているのではないことを知ってほしい。


「あなたが、愛しい」


 次の瞬間に、荒々しく口づけられる。息をする間すらなく何度も何度も重なって、やがてひとつに溶けあうような奇妙な感覚を覚えた。


「愛して、いる……愛しい俺の妻」

「んんっ……う!」


(どちらの熱か、わからない)


 いっそう深く唇が押しつけられると、口内に彼の熱い熱がねじ込まれる。


今この瞬間のふたりに境などない。生まれたときからそうだったように、心も体もひとつの存在だった。


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