軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「そういう芸術家たちが開くアトリエが、町にはたくさんある。工芸品に関しては、我が国が一番と言っていいほど優れているな」


 微笑を浮かべて誇らしそうに話すレイン。それだけ、祖国が好きなのだと伝わってくる。


 そんなふうに、自分の生まれた国を愛せる彼が羨ましかった。


「あなたは芸術家ではなさそうね。見たところ軍服を着ているようだけれど……」

「俺は軍を率いて他国の侵略を防ぐため、戦に赴いていた」


 その表情の凛々しさ、纏う威圧感、研ぎ澄まされた勘の良さから、彼が戦士であることは納得できる。


「では、あなたは兵士なのですか?」

「それは……話せない」


 すぼむ語尾に申し訳なさが滲んでいる気がしたセレアは首を横に振り、ニコリと笑う。


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