軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「交わる描写があるものは読めないということか」

「なっ」


(なんて、破廉恥な!)


 開いた口が塞がらないセレアをレイヴンの神秘的な瞳がまっすぐに見つめてくる。その瞳にはなんの感情も映っておらず、彼がなにを考えているのかがわからない。


「ずっと気になっていたんだが、お前は処女か」

「はい!?」


 ドキドキしながらレイヴンの言葉を待っていたセレアは耳を疑った。急になにを言い出すのかと卒倒しそうになる。軽く眩暈を覚えたセレアは、近くの棚に手をついた。


「やはりな、道理で反応がうぶだと思った」


 まだなにも答えていないのに経験がないことを断言されてしまい、耳まで真っ赤になる。確かに間違いではないが、そこは言わないのがマナーというものではないだろうか。

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