軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「なにを想像してるんだ。俺は男は抱けんぞ」


「す、すみません」


(どうしてバレたんだろう。顔に出ていた?)


 なんにせよ、レイヴンは不愛想にムッとしており、機嫌があきらかに悪い。セレアは困り果てて、どうしてこんなことになったのかとため息をつきたくなった。


 そこで、さきほどまで本の話をしていたことを思い出す。


「レインはどんな本を読むのですか!」


 これだ! と食いつくように話を軌道修正した。セレアの勢いに押されてか、ぎょっとした顔で瞬きを繰り返すレイヴン。

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