好きでいいかも……
 ジョンも、これ以上カイトの我儘を聞くつもりもないようだ。


「カイト、リサも忙しいんだぞ……」

 ジョンがカイトに言い聞かせている。


「やだよ~」

 カイトの目から、涙がじゎっ―とにじみ出た。


「また、遊びにおいで」

 私もなだめるように言うが。


「ふぇ―ん」

 やっぱり、カイトは泣き出した。


 ジョンは、ふぅーっとため息を着くと、凛々しくも優しい目で私を見た。


「しっかり、ご迷惑おかけしてしまって…… お礼に、今晩食事でもいかがですか?」


「え?」

 私は、予想外の言葉に、思わず聞き返してしまった。


「お世話になって、このままと言う分けにはいきませんよ」


「そんな…… たいした事していなので……」


「やった―っ」

 カイトは、ポンとジョンの腕から飛び降りた。


「で、でも……」

 私が戸惑っていると、ジョンがポケットから、メモを取り出して何やら書き出した。


「六時半にここで……」

 ジョンがメモを私の手の中にそっと入れると、当たり前のようにハグをして、カイトの手を繋いで行ってしまった。


「リサ! また後でね!」

 カイトは大きく手を振りながら去って行った。

 私は手の中のメモを見る。

 海岸沿いにある、大きなホテルとレストランの名前が書いてあった。
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