好きでいいかも……
 メモを見ながら、ジョンの触れた肩が暖かく余韻を残していた。

 ハグなんて、ここでは当たり前の事…… 

 わかっているのに、日本にいる時は、男の人に触れられる事など無い体が、ドキッと反応してしまう……


 行くとは言っていないが、行かないわけにもいかない……

 テラスに座りながらぼっ―と考える。


 ホテルのレストランなんて、一人じゃ行けない…… 

 たまには、誰かと食事もいいかな? 

 カイトも居るし……


 ああ、もしかしてカイトのママも一緒か?

 少し、気持ちが沈んだのは気のせいだろうか?


 私は、立ち上がると、そのままクローゼットを開けた。



 悩みに悩んだ挙句、白地に薄い緑の模様の入ったノースリーブのワンピースを着た。

 ケアンズのショッピングセンターで気に入って直ぐに買ったものだ。

 リゾート感もあるが、上に薄いカーデガンを羽織れば、ホテルのレストランでも十分に通用するだろう…… 

 お揃いのシルバーのピアスとネックレスをすれば、少し上品に見える。


 指定されたレストランまでは、大通りを歩いて十五分程だ……



 見慣れた観光客向けの土産物を覗きながら、ゆっくりとレストランまでの道を歩いた。
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