好きでいいかも……
「カイトの母親は、カイトが生まれてすぐに出て行ってしまったんです。子育てに自分の時間を取れるのが嫌だと言っていました。僕も、かなり協力したつもりなんですけど……」
ジョンは、小さくため息をついた。
「そうだったんですか……」
情けないが、そんな言葉しか出ない。
「そのせいか、カイトはあまり女性になつかないんです。だから、こんなにあなたになつくのが不思議なんです……」
「私が子供っぽいから、友達だと思うのかも?」
私はクビを竦めて笑った。
しかし、ジョンは横にクビを振った。
「カイトは、あなたといると安心できるんだと思います。こんなに、幸せそうなカイトを見た事無い…… 僕も同じです……」
「えっ?」
私が聞き返した時、カイトの声が響いた。
「パパ! リサ! 見て!」
カイトはエミリアと一緒に、バンドの演奏に合わせ、上手にリズムを取って踊っていた。
ジョンは、ニコリと私を見て、カイトの元へ向かった。
さっきの、ジョンの一言はなんだったんだろう?
何故か、胸の奥がキュンと音を立てた。
気付きたくない音だ……