好きでいいかも……
「いえ、まだです。今日は、トラブルが続いてしまって…… こんな時間になってしまってすみません……」


「もしよかったら、残り物ですけど、召し上がっていかれませんか?」


 カイトに掛けてあった、布団をめくろうとしたジョンの手が止まった。


「いいんですか?」

 ジョンが、少し驚いた顔を上げた。


「ええ……」

 私は、キッチンへ行き、スープを温めた。


 ソファーには、カイトが寝ているので、テラスのテーブルに、パスタと、野菜をしっかり煮込んだスープを並べた。


 椅子に座ったジョンは、テーブルの上を見て、少しだが顔がほわっと、明るくなった気がた。


 スープを一口すすったジョンは、

 「グッドッ」

 と、ぽろりと言うと、噛みしめるように、目を閉じた。


 残り物のスープに、そんなに感激されると、恥ずかしくなってしまう。


 向かい合って食べるのを見ているのも失礼かと思い、私は頂いたケーキを食べる事にした。


 ライトアップされたプールを見ながら、まったりと時間が流れる。

 悪くない……


 口に広がるケーキの甘さにも、ほっとさせられる。


 オーストラリアのケーキは、甘さが強くよく、重い食感の物が多いが、このケーキは、比較的ほどよい甘さだ……


 ゆったりと、会話が流れる。

 日本での仕事の事。

 ジョンの仕事の事。

 カイトの事。

 時間が経つ事を忘れるくらいに……


 ふっと、ジョンが思いもよらぬ事を口にした。
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