好きでいいかも……
 
 「乾杯――」

 どこかのおじさんの声に、慌ててグラスを上げた。


 グラスを交わした、亜美と晴香と目があった。

 何故だろう、二人が今、自分と同じ事を考えているような気がする。


 結婚を否定しているわけでは無いし、美也子の幸せを心から祈っている。

 だが、これからが全ての始まりである事は確かなのだ……


 だって、仕方ない…… 

 このテーブル座る八人のうち、三人が結婚を脱落したのだから…… 

 いや、辞退したと言った方がいいのかもしれない……



「先ほど、永遠の誓いを交わした二人に……」

 と司会者の言葉が流れた。


 永遠か? 

 永遠なんて、誰が決めて、誰が約束してくれるのだろう? 

 勿論、誓い合った二人なのだろうが……


 今、この時は、何の迷いも無く永遠と誓った事は確かなものなのに……


 何故か、時が経ち、あの時はそう思っただけになってしまった。


 永遠っていったいなんなんだろう? 

 だって、私が参列した結婚式のカップル十五組の内、七組が離婚し、そのうち三人はすでに再婚している。


 永遠の誓いと言われてもさっぱり、意味が分からなくなってしまった。


 また、亜美と晴香と目が合い、ふっと笑う。

 
「今が一番幸せな時だね……」

 ポツっと、新婦の美也子に目を向けた亜美の表情が少し悲しげに見えた。


「そうかもね……」

 同意するように言った言葉に、亜美と晴香が肩を竦めて目を合わせた。


 会話が聞こえているのか分からないが……


「めっちゃ、美味しい…… 作ってもらえて、後片づけしなくていいなんて、本当に幸せ~~」


 佳代子の幸せそうに、ローストビーフを頬張った顔に、思わず笑ってしまった。

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