好きでいいかも……
 私は、レセプションが開くと同時に、チェックアウトを済ませ、スーツケースを手に、タクシーに乗り込んだ。


 飛行機は、明日のチケットを予約してある。

 変更の利かない格安チケットだ。


 私は、ジョンの系列ホテルでない事を確認し、船で島に渡り一泊する事にした。


 スムーズにチェックインも済み、ホテルの部屋へ入る。


 バルコニーから、青く永遠に広がるグレートバリアリーフを眺めた。


 私は何をやっているのだろう?


 海からの、程よい風にあたり、なんとも言えない切なさが込み上げてくる。


 こうやって、一人での時間に癒される為に、わざわざ海外へ来たのに。

 今回の旅は、なにをやっているのだ……

 情けない……



 海岸には、オージーの家族やカップルが、楽しそうに笑う姿が見える。




 ホテルのプールには人が集まっていて、パーティーが開かれているようだ……


 そして、白いウェディング姿の花嫁と、タキシード姿の新郎が腕を組んで、プールサイドに現れた。

 周りからの歓声があがる……


 『幸せに……』


 いつだって、願っている……


 だけど、自分にもまわりにも、約束された幸せなんて見えない……


 幸せそうに、笑顔を向ける花嫁の姿が、悲しいくらいに眩しい……
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