好きでいいかも……
 
 近くにある、営業時間になったばかりのおしゃれな居酒屋に入った。

 四人は、それぞれアルコールを頼み乾杯した。

「美也子綺麗だったね」

 亜美が言った。


「本当に、綺麗だった」

 私は、そう言った後サワーの入ったジョッキをグ―ッと飲んだ。


「そうね…… でも、あなた達も綺麗だったわよ」

 佳代子がニヤニヤと皆を見渡した。


「はあ……」

 皆が、ため息と同時に笑った。


「久しぶりに会ったけど、理紗はどうなのよ? 再婚の話とか無いの? それだけ美人で若いんだから、口説いてくる男も多いんじゃないの?」

 佳代子が、何か面白い話でも探すように、身を乗り出してきた。


「そんな浮いた話は無いですよ。バツイチじゃ誰もまともに声なんて掛けてこないわよ!」


「そんな事ないわよ。理紗が気付いていないだけよ。結構気にしている男社員もいるんだけど、適当に誤魔化されて踏み出せないでいるだけよ」

 亜美が目を細めて言った。


「そうかな? 心当りも無いし…… なんか面倒臭いんだよね」

 私は口を尖らして見せた。


「あ―― 分かるわ。私もしばらく男はいいわ」

 晴香がため息ともに、サワーを飲み干した。


「美人二人が何色気の無い事言ってんのよ! もったいない」

 と亜美が、披露宴の後で、お腹がいっぱいだと言いながら注文したチーズの盛り合わせをつまんだ。


「別に結婚を否定する訳じゃないのよ。ただ、私には合わないっていうかさぁ…… 人に合わせて生活するのが苦手なんだと思う」

 私は頬杖をついた。


「私も大変だったけど、相手が悪かったんだって思うわ。今度こそ、お金があって、子供達を大切にしてくれる人と出会いたいって思うけどね。でも、確かに、面倒臭いっていうのもあるよね…… 今、楽だもん……」

 亜美が少し笑って言った。

 なんとなく、みんなも笑った。
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