Noise Breaker

ⅡNoise

-斎藤　和雅-
それがこの男の名前らしい。
Ｓ高までの短い道のりを、この男は止まることなく喋り続けていた。
外見は、天パなのかちょっと癖のある髪が茶色くて、耳には結構な数のピアス。
見慣れない制服もだらしなくテキトーに着こなしている。
一見ガラの悪そうな男だが、一方的に話をしてくる感じは陽気でテンションの高い男だった。

「ねぇ、聞いてる？」
「聞いてるよ」
そう聞かれてダルそうに答えるあたし。
周りを歩いてるＳ高生が物珍しそうにこちらを見てくる。
当然といえば当然の反応かな。
いつもなら誰とも一緒に登校なんかしないし、音楽を聴いているから話しかけられても無視が基本だし。
でも今はこの男に言われるまま、イヤホンを外し音楽を止め、話し相手をしている。
周りから見ても、あたし自身からにしても"異常"もしくは"奇跡"だ。