Noise Breaker
「あのさ!俺のことはカズって呼んでなっ」
「・・・」
「ねぇ、まだ君の名前聞いてないよね?!」
「・・・」
正直うっとおしい。
今まではこの外見上、そんなに話しかけられもしないし、話しかけもしなかったから楽だった。
でも、今のこの状況は正直そろそろ耐えられない。
もうすぐS高だ。
名前くらい教えてやっても良いかな。

「ねぇってば!」
「晶、東雲 晶」
「晶か~」
よっし!
もうすぐ校門、教師が立ってる。
こいつを引き渡せば、晴れて自由の身!!
「じゃあアッキーラだ!ほら、アッキーナみたいに!」
「はぁ?!」
何を言い出すんだこいつは。
思わず校門目前で立ち止まって大声を出してしまった。
「ふざけんな!」
「な~んだ、普通の反応も出来んじゃんw」
「は?」
「じゃあ、またね!」
意味不明な事を言い残して、奴は立っている教師の方に走っていった。
普通の反応?
なんだそれ。
くだらない。
今日は朝から無駄な力を使ってしまった。
いいや、1限から寝よ。
返事さえすれば出席になる。
意外と校則はゆるいから助かるな。

あたしはもう一度イヤホンを付け直して教室に向かった。
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