【短】Against The Rule
彼、十色は、私が入社して初めて専用にしてもいいと言われたマルチコピー機で。
毎日、毎日、激務に追われて…失敗したりなんだりした時に一番傍で愚痴を聞いてくれていた存在だった。
「お前、頑張ってんじゃん。なんで、そんな不安そうな顔してんの?もっと自信持てよ」
それはある日の出来事。
やっぱりその日もヘマをしてしまい、先輩に散々嫌味を言われてしまって。
ぎゅうっと、机の下で、持っていたハンカチを握り締めて、なんとか泣くのを堪えてた。
そして、先輩たちが帰宅してしまった後、残務処理をしながら、「仕事辞めたい」と零した時に、いきなり後ろからそうやって声を掛けられたんだ。