【短】Against The Rule
ばさ
そう言って、十色は私の手にあった書類を奪って、その辺の机の上に放り投げた。
「これ、明日までなんだよ?十色が手伝ってくんないと、困るってば」
「……ふぅん?」
「な、なに?」
「じゃあ、言ってみな?『私は十色のものです』って」
「な?!」
「言えたら、そんなヘボい企画書でも俺が処理してやる。お前が一回瞬きするくらい最速で」
課長の机に、腰を下ろして、長い長い足を組む十色は不敵に微笑んだ。
…その顔に、私が弱いことを知っている癖に…。
私は、きゅっと口唇を結ぶ。
それからふぅーっと深呼吸をした。