【短】Against The Rule
「わ、私は…」
「んー?なんだ?」
「わたしは…十色の…もの、です…」
「声が小せぇけど、まぁいいか…しょーがねぇな。俺のモノ、な瑠海の為に一肌脱いでやろうじゃねぇの」
「わっ…」
言うか言わぬかの内に、それこそ瞬く間にデータが書類化されていく。
でも。
「あー…めんどくせ…このページにゃ色入れねぇ」
とか。
「なんだ、この乱雑な企画書…配列おかしいだろーよ、ナンバリング変えっぞ」
なんて、さも優秀な(勿論とっても優秀なんだけど)同期のような、さらりと仕事をこなしてしまう十色に思わず見惚れていると…。
「なんつー顔してんだよ。おら、お前のも寄越せ。つーか、あとでこの報酬はちゃんと貰うぞ?タダ働きなんざ、やってられっかよ」
と、くくくと悪魔のように笑われた。