嘘
「ハヤタ!なんだか久しぶりだな!
熱はもう大丈夫か?」
学校に着くと、高校の制服を着たハルイチがさっそく話しかけてきた。
「いや。」
「マジかよ。
お前もうすぐ死ぬんじゃね?」
ハルイチ・・・冗談きついぞ。
一緒に自分のクラスを確認しに下駄箱へ向かう。
俺は数日前から葛藤していた。
サッカー部に入り、サッカーを続ける。
嘘をつきながら本当にそんな事ができるだろうか。
“大丈夫か?”
この質問が一番厄介だ。
“大丈夫じゃない”と答えるしか無い。
例えば、プレー中に相手にタックルされ、審判や監督にそう聞かれたら・・・
チームスポーツにおいて、嘘をつくという行為がどれだけの被害をもたらすか。
考えれば考えるほど色んな場面が頭の中を巡り、涙が止まらなかった。
・・・・もうサッカーを辞めるしかないのか・・・