嘘
「ちょっと座る?
ほらベンチもあるし。」
号泣に近くなってきた松尾さんを目の前に、とにかく落ち着かせようと試みる。
もしお巡りさんがこの場面を見たら完全に俺が不審者扱いになるだろうな・・・。
松尾さんが自転車から降り、涙をぬぐいながら俺を直視した。
「河原君・・・・・・
好きです。河原君が好きです。」
「え・・・・・」
「初めて図書室で見かけた時から・・たまに一緒に帰ってくれて・・いつも声掛けてくれて・・・海で一緒に花火してくれて・・・バレーボールのこと親切に教えてくれて・・
私みたいな地味で可愛くない女が河原君みたいな人と付き合えるわけないって分かってるけど・・・・・・
・・・でも・・もじ・・もじガワはらぐんが許じでぐれるだら、河原君の彼女にだりだいでず・・・。」
嗚咽混じりに、最後はまともに話せなくなっていた。
・・・そうか・・・松尾さんは俺のことをそう想ってくれていたのか・・・・
眼鏡さんに突然告白されて、頭パニクっているところに、張本人の俺が現れてしまったのか・・・。
こんなことなら、いつも通り公園の中で練習してればよかった。
そうしたら松尾さんもきっと俺に気付かず家に帰っていたのに・・・
悪いことしたな・・。