嘘
松尾さんは良い友達だと思っていた・・・。
図書室で顔を合わせ、たまに一緒に帰って。
彼女もまた俺のことを友達と見てくれていると思っていた。
・・・・・俺って最悪だな。
松尾さんは少し引っ込み思案で、なかなか自分の意見を前に出すようなタイプじゃない。
だからたまに損することもあったかもしれないけど、とても良い子だ。
本が好きだけあって、頭もいいし。
そんなあの子の気持ちに、俺は偽りの気持ちで応えてしまった。
・・・俺と出会わなかったら、
もっと松尾さんのことを異性として見てくれる良い男と巡り会ったかもしれないのに。
これからどうなるのか想像もつかない。
どれぐらい恋人関係が続くか分からない。
だけど、松尾さんの貴重な高校生活を、青春を、
このままでは嘘で塗り固められた俺が奪ってしまうことになる。