「こうしてハヤタとパスを交わすのは球技大会の為に練習したとき以来だな!」


「そうだな。」




公園の照明に照らされる範囲でお互い距離を取り、ボールをパスしあう。



やっぱりハルイチとこうやってパスを交換しあうと、気持ちも落ち着く。


それは昔から変わらなかった。



「ハルイチさ。俺彼女が出来た。
2組の松尾ミサキっていう子。」


「ええええ!!!」


余程驚いたのか、ハルイチが出したパスは俺がいる位置から大きく逸れる。

「ああ~すまん。」




少し小走りにボールに追いつくと、そのまま無言でパスを返す。



「ハヤタも隅におけねぇな!
俺が一生懸命部活に励んでる時によ。」


「それを言われたら、何も言い返せないよ!」


少し強めに蹴りすぎてボールが浮いてしまった。


ハルイチはそれを造作も無くトラップしてまたすぐ俺に返す。



「図書室でよく一緒になってさ、それで仲良くなった。」


「どっちから告ったの?」


「・・・・・俺から。」



「ハハハハ、見たかったなその瞬間。

サッカーが恋人だったハヤタが女子に告白するなんてな。」


「黙っておくのも変だから、ハルイチには言っておこうと思って。」


「なるほど・・俺を呼び出したのはそういうことだったんだな。」


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