嘘
ハルイチがボールを一旦足下に止めると、ドリブルしながら俺に向かってきた。
「球技大会の時にはあんまり実現できなかったけど、1on1やろうぜ。
軽めにするから!」
「手加減しろよ!」
中学の時はとにかく真っ直ぐドリブルして、フィジカルでデフェンスを振り切っていたハルイチだったけど、
細かいボールタッチで俺をかわしにくる。
久しぶりの対人練習だ。
「あっ!」
一瞬トラップが大きくなったその瞬間を狙いボールを奪取した。
「次は俺の番ね。」
「へへ。来いよ。」
“軽め”なんて言ったことお互い忘れて、しばらく激しい1on1を続けた。