嘘
ーーーーーー
「ハヤタ君。」
その日の放課後、図書室でミサキの隣に座って勉強をしていると珍しく話し掛けてきた。
俺が勉強中の時はいつも彼女も気を遣ってくれて本に集中しているのに。
「どうした?」
周りに他の生徒もいるので、小声で話す。
「苦いのと甘いのどっちが好きかな・・」
多分チョコの話だな。
わざわざ用意してくれるのは嬉しいんだけど・・悪いな。
チョコはビターのほうが好きだからここは、
「・・甘い方が好き。」
「はい。」
ミサキはハチミツ味ののど飴を差し出してきた。
「・・・・何これ?」
「え・・・昨日喉の調子が悪いって言ってたから・・・ごめん・・。」
「・・・・フフフッ・・・」
図書室で大声を出してはいけない。
でも笑いが抑えられない。
「え、何で笑ってるの?」
「いや・・・何でも無い。
飴ありがとうね。」
飴を貰ったついでにしばらくミサキと手をつなぐ。
他の人達には気付かれないように。