嘘
「・・・・・・・」
声を出したらいけない。
大声を出したら母ちゃんに気付かれる。
「・・・・・・・・・」
左腕で必死に自分の鼻を押さえる。
「・・・・ウウ・・・ッス・・・ウウ・・・・」
意外と頭では冷静だと思っていた。
だけど、やっぱり体の底から“高校でサッカーができない”という実感が沸いてくると、涙が止まらない。
・・・・俺からサッカーを取ったら何が残るっていうんだよ・・・。
静かに流す涙が止まるまで、決意を固めるまで、
しばらく部屋から出ることが出来なかった。