嘘
メッセージを送ると、いつものトレーニングに出かけようと部屋を出て玄関へ向かう。
「うん。うん。分かった。
じゃあまた明日ね。」
母ちゃんがリビングで誰かと電話をしていたようだ。
ちょうど俺が通りかかった所で電話を切り終わる。
「ハヤタ、冷蔵庫にあった牛乳、賞味期限切れてたけど大丈夫だったかい?」
「え!?切れてたの?
・・・大丈夫じゃない。」
「お腹下してるなら薬飲んでおきなさいよ。」
「分かった。」
「そうそう、明日ヨーコが来るから。」
「ヨーコ叔母さんが?なんで?」
「仕事でこっちに来る用事があるからついでに私とハヤタに顔見せるって。」
「土曜日なのに仕事してるのか。」
「あの子は昔から仕事ばっかりだからねぇ。
早いところ良い人見つけて欲しいのが姉の本音だけど。」
ヨーコ叔母さんは母ちゃんと結構歳が離れている妹で今は・・確か東京に住んでいる。
最後に会ったのは多分俺が中学2年の時だな。
「大体何時ぐらいに来るの?」
「15時ぐらいって言ってたわよ。
日帰りでまた東京帰るみたいだから長居できないみたいだけど。」
「母ちゃん、俺ちょうど予定入ってるよ。
悪いけどヨーコ叔母さんによろしく言っておいて。」
「なんだい。
久しぶりに会えるっていうのに。」
「ごめんごめん。
じゃあ俺出かけるから。」
母ちゃんとの会話を切り上げ玄関を出ると、いつもの公園へとランニングを開始する。