嘘
ヨーコ叔母さんは一人っ子の俺からしたら、歳は10個以上離れてるけどお姉ちゃんのような存在だ。
小さい頃、近所のお祭りに一緒に行って、いつも俺の好きなりんご飴を買ってくれた。
東京に行ってからは疎遠になっていたが、中学の時にわざわざ試合を見に来てくれたこともあった。
久しぶりに会いたいな・・・・。
会いたいけど・・・。
ヨーコ叔母さんから質問攻めにあうのは目に見えている。
元気だったか?
高校は楽しいか?
サッカー部に入ったのか?
彼女は出来たか?
思いつく限りでも間違いなくこの質問は受けるだろう。
久しぶりに会う親戚というのはそういうものだから仕方ないけど。
嘘をつくことしかできない俺に、ヨーコ叔母さんの質問をかいくぐる事はかなり厳しい。
嘘が嘘を呼び、取り返しのつかない事態になりかねない。
明日は部屋に引きこもって、読書と勉強をするつもりだったが、とっさに“予定がある”と嘘をついた。