嘘
なんなんだこのタイミングは・・・。
もういなくなっていたと思っていたサッカー部の集団。
トイレから出た俺の目の前には自転車を押すチカがいた。
「どうしたの!?
ひょっとして練習見に来てくれたの!?!?」
「・・・・トライアスロンの練習。」
「トライアスロンの練習ってそのママチャリで?」
制服を来ているのに、いつもの自転車に乗っているのに。
自分でも笑っちゃいそうな嘘はチカのツボに入ったようだ。
「このママチャリはな、婆ちゃんの形見なんだぞ。」
「それはホントっぽいね。」
「お前こそ何でまだこんな所にいるんだよ。
ハルイチ達はもう帰ったんだろ?」
「それが・・・。」
チカは後ろのタイヤに目配せする。
「途中でパンクしちゃった。」
「あ、そういうことね。」
「もう最悪。みんなには悪いから先に帰ってもらったんだ。」
「お前、ここから駅って歩くと相当遠いぞ。」
「頑張って歩く!
今日はお父さんもお母さんも出かけてるから迎えにきてもらうのも無理だし。」
「まあ慌てるな。
ちょっとそこで待ってろ。」