嘘
坂を下りきり、自転車屋さんに向かいながら、途中にあるたこ焼き屋に立ち寄る。
確か中学の時も森中グラウンドで試合した帰りはハルイチやみんなとよく来てたな。
久しぶりに訪れた屋台風の店構えはその時と変わらないままだった。
「はい。チーズ明太。
ここで一番おいしいんだよ。」
お店の前のベンチに座るチカに焼き立てのチーズ明太 6個入りを差し出す。
「おいしそー!あ、お金。」
「いらないよ。」
「いや悪いよ!払うから。」
「じゃあ、このたこ焼きは口止め料。
今日俺と会ったことはハルイチとか他の人には内緒にしてくれな。」
「分かった、誰にも言わないよ。
じゃあ頂きまーす。」
チカはこれでもかとフーフーしてからたこ焼きをほおばる。
「ん~~~~~!!おいしい!」
「うまいだろ。」
「ハヤタは食べないの?」
「俺はお腹空いてない。」
久しぶりのこのお店独特のうまそうな匂いと、
あまりにおいしそうにチカが食べるから、つられて俺もお腹空いてきた・・。
でも直ったといっても先程までトイレでもがき苦しんだ身。
ここは我慢するか・・。